
◆「新嘗祭」、天皇の宗教的権威の源泉(一)
◆◇◆「新嘗祭」、稲の王・天皇家の最重要祭儀、天皇家の宗教的権威の源泉
新嘗祭(にいなめさい)は古くは、旧暦十一月の下卯(しものう)の日、宮中の新嘗祭は、前夜の鎮魂祭に引き続いて行われた(現在、十一月二十三日から翌日にかけて神嘉殿で行われる)。新嘗祭は新穀の収穫を祝う祭りである(秋に行われる稲の収穫感謝祭である)(※注1)。
しかし、即位した天皇の初めての新嘗祭を大規模にしたのが大嘗祭(※注2)であることなどから考えれば、収穫祭と王権祭儀が結び付いた祭りということがいえそうだ。
稲の祭りは天皇家の宗教的権威の源泉であり、古代から現代に至るまで、新嘗祭は宮中祭祀の中で最も重要な祭りとされてきた(※注3)。
天皇の政治的地位や機能が時代により大きく変化しても、天皇は古来より一貫して神を祀る存在であり、新嘗祭は暗闇にて新穀を神に捧げ、共食(※注4)する稲の王・天皇家の最重要祭儀であったのだ(稲作農耕国家の大神主・祭祀王としての天皇が、五穀の豊穣を祈念し感謝する祭りである)。
※参考Hints&Notes(注釈)☆彡:*::*~☆~*:.,。・°・:*:★,。・°☆・。・゜★・。・。☆.・:*:★,。・°☆
(※注1)新嘗祭は天皇のみではなく、一般庶民の間でも行われていた。現在は十一月二十三日の「勤労感謝の日」が新嘗祭の日である。もともと農村では、稲の刈り上げが終わった後に、田の神の苦労を労い一年間の感謝を捧げる祭りが行われていた。これが本来の収穫祭である。
時期はだいたい旧暦の十月から十一月頃(現在の十一月~十二月)で、今でも農村では、「田の神送り」の祭事が営まれ、秋から冬にかけての祭りである。西日本では旧暦の十月の亥の日に田の神が帰られるとされ、亥の子祭り、亥の日祭りが行われる(稲の刈り上げの祝いとして新米を搗いて食べる習慣があり、これを亥の子餅といい、そもそもは田の神に捧げる供え物であった)。
また、「田の神迎え」などといって、田の神を家に招いて饗宴する地方もある。特に能登の「アエノコト」は有名だ。
(※注2)新天皇が即位に際して御代の初めに行われる「大嘗祭」は、天皇が日神・アマテラス(天照大神)と新穀を神人共食(御直会=おなおらい)し、神霊と一体化し、霊力・資質を身に付け、天皇位を神権的に継承(天津日嗣=あまつひつぎ)する大切な儀式である(大嘗祭の主祭神についてはタミムスビとも、大物主神とも・・・)。
これに対して、毎年秋に行われる新嘗祭は、この時期の太陽のように、一年間活動して衰弱した天皇の霊威を強化・更新する祭祀といえる。ともに天皇が天皇であるための重要な祭りである。
(※注3)『記・紀』神話によると、アマテラス(天照大神)は、ウケモチ(保食神)から五穀の種子を得て、それを高天原の御田で育て、大嘗祭(おおにえ)を行って食していた。
その五穀の種子は地上に降臨する天孫・ニニギ命(瓊瓊杵尊)に授け、この五穀の元種は、地上の人々に穀物の実りをもたらしたのである。そのため稲の元種を授けてくれた皇祖神に感謝し、神とともに新穀を食することで、いよいよ天皇の徳を増すとされた。これが新嘗祭なのである。
天孫・ホノニニギ命(日子番邇邇芸命・彦火瓊瓊杵尊)やその父神・アメノオシホミミ命(天忍穂耳命・天忍穂耳尊)の神名が稲穂を意味することから、稲の神格であることを表している。このように弥生稲作文化を、神話世界(斎庭の稲穂、豊葦原瑞穂国)と神事儀礼(斎田の栽培と初穂の直会)によって再演(再現)され続けているのだ。
(※注4)神と飲食を共にすることを「直会(なおらい)」(共食信仰)という。今では、祭りの後に、神饌(季節のものや初物など、収穫したばかりの新鮮で清浄な食べ物が尊ばれ、神に供えられた)を下ろして神職や氏子が食べる酒宴を「直会」といっている所がほとんどだが、本来は「嘗(な)め合い」「嘗(な)むり会(あい)」が転じたもので神と人とが一緒に食事をすること(神人共食)であり、神祭りの中心行事であった(祭りとは、神というこの上なく貴い存在を歓待する行為である)。
これは神と人との最も大切な接触であった。神様用(神饌用・神供用)の食物を通じて神の霊力が体内に入り、神と深く交わり合うことができると考えられたのである(赤飯がめでたいとされるのは、それが元々神饌のための特別な調理だったからだ)。こうした習俗・習慣(共同飲食行為)は日本人の心理に深く浸み込んでいる。
スサノヲ(スサノオ)
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そろそろきますね。確定・・・の時期が・・・。
【
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2007年02月07日 04:51