◆出雲神話と高天原神話を繋ぐスサノヲ(一)

2006年10月16日

Posted by スサノヲ(スサノオ) at 23:47 │Comments( 2 ) 古代史に見る日本文化考
◆出雲神話と高天原神話を繋ぐスサノヲ(一) 地図はこちら



◆出雲神話と高天原神話を繋ぐスサノヲ(一)

◆◇◆出雲系神話と高天原系神話を繋ぐスサノヲ神話:なぜスサノヲ神話が作られたのか?

 『出雲国風土記』に登場するスサノヲ命(須佐之男命・素盞嗚命・素戔嗚尊)は、おおらかな農耕的神であった。しかし、『記・紀』神話に登場するスサノヲ命は巨魔的な巨大な神として登場する。この落差は一体何を意味するのであろうか? しかも、『記・紀』神話のスサノヲ命は、高天原・葦原中国(出雲)・根の国(根之堅州国)と三界に登場する特殊な神として登場する。

 スサノヲ命は、『記・紀』神話の中で、この三界を繋ぎ、その中でも、出雲の神々を高天原の神々の下に位置付ける(天津神と国津神を分け、日本を天津神の支配とする)という大きな役割が科せられているようにも思える。それは、『記・紀』神話の中の「出雲系神話」と『出雲国風土記』や『出雲国造神賀詞』の「出雲神話」の説話の内容の違いからも窺うことが出来る。

 『記・紀』神話の中の「出雲系神話」は、大和朝廷が本格的に中央集権化を推し進めるにあたり、新たに作られた『記・紀』神話の中の「高天原系神話」と政治的に結び付ける意図のもと、『出雲国風土記』や『出雲国造神賀詞』の「出雲神話」を作り替えたと考えられる(推測できる)。

 その際、二つの神話を繋げる(結び付ける)大きな役割として、三界にまたがる重要な神の存在が必要とされたに違いない。その二つの神話を結び付ける神こそ、スサノヲ命(天津罪を犯し高天原を追われたとする神)であり、スサノヲ神話(地上に降り国津神の祖神となったとする神話)であったと考えられる。

 この「出雲系神話と高天原系神話を繋ぐスサノヲ神話」というテーマで、以下のことについて少し考えてみたいと思う。

 ①大和の大物主神(大物主命)と大和朝廷(:当初は大和朝廷も最高神として祀る)、②皇祖神・天照大神(天照大御神)と大和朝廷(:中央集権化の進展にあわせ氏神?から国家神へ)、③疎かに出来なかった出雲系の神々(:大和朝廷成立以前から古い政治的・文化的中心があった)、④死と再生の信仰・習俗を色濃く残す出雲(:死と再生の説話の多さと出雲系信仰)、⑤死者の国(冥府・他界)と妣の国(黄泉国・根の国)・出雲(:大和朝廷にとって負のイメージ・大和に対する反対概念と捉えられていた)、⑥死と再生を超越した至高の世界・高天原(:首長霊信仰にもとづき死のない特殊な世界観をもつ特権的世界)、⑦死者の国とは常世国・出雲(:本来は永遠に命が続く世界、海の彼方にある神々の世界であった)、⑧二つのスサノヲと二つの神話(おおらかな農耕的神と巨魔的神を繋げる『記・紀』神話の意味することとは)など、一つ一つ考察してみようと思う。


スサノヲ(スサノオ)


同じカテゴリー(古代史に見る日本文化考)の記事画像
◆神野山周辺の巨石群は、古代の磐座信仰か?
◆奈良・山添村、神野山の巨石群は「天の鏡」
同じカテゴリー(古代史に見る日本文化考)の記事
 ◆神野山周辺の巨石群は、古代の磐座信仰か?  (2007-03-08 00:41)
 ◆奈良・山添村、神野山の巨石群は「天の鏡」  (2007-03-04 23:27)

この記事へのコメント
 島根県の東半分は旧出雲の国ですが、この出雲の国の西端に出雲大社があります。東端にはスサノオが地名を名付けたという安来市があります。この両端でヤマト王権が出来る以前の弥生時代に繁栄した遺跡が発掘されています。考古学ななども考えると、出雲西端ももちろん大事なのでしょうが、ことスサノオに関連する問題を考えると出雲東端のあたりの調査も重要な気がします。
Posted by 温故知新 at 2007年12月30日 12:29
 なんで安来道路建設時の重大な発見が表ざたにならないのだろう?
不思議ですね~。
Posted by 根本 at 2008年10月10日 22:34
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。