◆アマテラス(天照大神)と伊勢神宮の謎(一)

2013年06月04日

Posted by スサノヲ(スサノオ) at 18:13 │Comments( 0 ) 神話に見る日本文化考
◆アマテラス(天照大神)と伊勢神宮の謎(一)

アマテラスと伊勢神宮の謎を読み解く」語りかぐら
~日本人の心・日本神話へいざなう~
伊勢神宮式年遷宮記念コンサート
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◆アマテラス(天照大神)と伊勢神宮の謎(一)

◆◇◆皇室の祖神(皇祖神の源流)は、アマテラスか、タカミムスビか ・・・

 日の神アマテル神は伊勢だけでなく、各地(山城・大和・摂津・丹波・播磨・対馬など、特に海人族によって)で祀られていた。本来日の神(ローカルな太陽神、プレ・アマテラス)は、農耕民・漁撈民の間で、かなり広く祀られていた神であったようである(大和国の鏡作坐天照御魂神社の祭神は天照国照日子火明命、他田坐天照御魂神社の祭神は天照御魂神、山城国の木島坐天照御魂神社の祭神は火明命、摂津国の新屋坐天照御魂神社の祭神は天照国照天彦火明大神)。

 その中の有力な神に仕えるオオヒルメノムチ(大日■貴、大日女、大日妻、日神の巫女)が、後には天照大神として、皇祖神の首座を占め、高天原を主宰する神に昇華するのである(天照大神が宮廷で祀られるのは、奈良時代までなかったようである。『延喜式』の祝詞にもほとんど出てこないし、平安時代初めまで特別な祭祀もされていなかった)。

 農耕儀礼の中に育まれた日の神信仰を集中・独占した王権の宗教的機能は、天皇の即位儀礼と関係の深い大嘗祭(タカミムスビは、大嘗祭の斎場に祀られる八神殿の主神であり、田の神あり、生成に関する霊力の神格化である)が、農耕祭儀を基本としている祭式であることからも明らかである。

 もしかすると、初期ヤマト王権の段階の祖神であった神は、アマテラス(天照大神)以前に皇祖神としてタカミムスビ(高御産巣日神・高皇産霊尊・高木神=神の依ります神体木・神籬の神格化)が位置していたのではないだろうか。

 神代史では、タカミムスビは葦原中国平定を命ずる神として、また天孫降臨の指令神として重要な役割を演ずる。このことからも、タカミムスビこそが皇祖神・アマテラス(天照大神)よりも原初の神で、高天原の主宰神と仰がれた段階があったと考えられる。

 またオオヒルメノムチ(皇大神宮第一の別宮・荒祭宮の祭神・撞賢木厳御魂天疎向津姫=つきさかきいつのみたまあまさかるむかつひめ?)は、この神に使える巫女であったとも考えられる。

 ところが、ひとたびアマテラスがタカミムスビ(または、プレ・アマテラス=天照国照御魂神=男神)と合一化し、アマテラスが皇室の至高の祖神と信じられるにいたって、アマテラスの方が前面に浮かび上がってくる(ただ一人のアマテラス、ただ一人の皇祖神となっていく)。

 タカミムスビの信仰は、弥生時代の農耕文化の導入と展開の中で育まれたものであろう(対馬の阿麻■留(あまてる)神社、対馬の高御魂神社、山城国乙訓郡の羽束師坐高御産霊神社、大和国添上郡の宇奈太理坐高御魂神社、大和国十市郡の目原坐高御魂神社など)。

 では、アマテラス(天照大神)はそもそもどのような神であったのであろうか?(日の神アマテル神は各地で祀られてた。日の神に仕えるオオヒルメノムチ) いつ頃から皇祖神として祀られ、どのような経緯で皇祖神になったのであろうか?(雄略朝から継体朝を経て、天武・持統朝で確立)また、なぜに大和から遠い伊勢の地に遷幸・鎮座させられたのでしょうか?(大和の真東の太陽信仰の霊地・東国経営の基点、伊勢神宮は元は三輪山の遥拝所か) 天武・持統天皇と伊勢のアマテラスとの深い関係には何があるのでしょうか?(氏姓制社会から律令制国家への一大転換、神祇体制の確立) 伊勢遷幸伝承・伊勢鎮座伝承(豊鍬入姫巡行・倭姫巡行)は何処まで史実でしょうか?(後世の斎王制度の由来譚) 斎王と斎宮と神鏡、そして伊勢神宮の心御柱と神籬の祭祀は何を意味するのでしょうか?(大物忌と由貴大御饌、その秘儀の意味と起源、伊勢神宮祭祀の光と影の二重構造) 皇祖神・アマテラス(天照大神)と伊勢神宮には、このように多くの謎が隠されている。

スサノヲ(スサノオ)

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