◆出雲神話と高天原神話を繋ぐスサノヲ(二)

2006年11月13日

Posted by スサノヲ(スサノオ) at 00:00 │Comments( 1 ) 神話に見る日本文化考
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◆出雲神話と高天原神話を繋ぐスサノヲ(二)

◆◇◆出雲系神話と高天原系神話を繋ぐスサノヲ神話:大和の大物主神と大和朝廷(1)

 縄文時代、大和の地では、人々は森林や海川の近くに住み、農耕を知りながらも、狩猟採集を主たる生活手段としていた(縄文文化)。縄文の人々は自分たちの生活を豊かにしたり、また災いをもたらしたりするもの(精霊、霊魂、霊鬼、霊威)を、すべからくカミと見なし、そのカミは恵みと恐れの神(森羅万象、自然には創造と破壊、荒ぶる力と和らぐ力を繰り返す。その自然の摂理の圧倒的な姿の背後に人智を越えた大いなるもの、聖なるものの存在を感じ取るのだ)としていたようである(精霊崇拝・精霊信仰)(※注1)。

 原初の三輪山の神もこのようなカミであったと考えられる。大和の御諸である三輪山は、御諸(みもろ)とは御室(みむろ)ともいわれ、神奈備山(かんなびやま、神山)のことだ。正体を蛇神とされる大物主(三輪山の神を、恐ろしき「モノ」=大物主と名付けたのは、大和朝廷の側であり、それは、決して本来的な名ではなかったと考えられる)が棲むというこの山麓は、実は太古からの太陽信仰(朝日信仰)の地でもあったのである。

※参考Hints&Notes(注釈)☆彡:*::*~☆~*:.,。・°・:*:★,。・°☆・。・゜★・。・。☆.・:*:★,。・°☆

(※注1)万物にカミなるものが存在するという思想は「アニミズム」と呼ばれていて、世界中のあらゆる民族の文化の古層に確認されている(マナイズム、自然崇拝、死霊崇拝などの原始的な宗教観念も、縄文人の信仰には祖霊信仰の要素があるとも)。確かにアニミズムは近代合理主義とは相容れないものがあるが、現代科学でも解明できない自然界の神秘や、大地震などの災害、眠る時に見る夢や熱狂してトランス状態に陥る人間の心理のなかに見ることができる。

 特に、アジアそして日本では近代文明が発達し、合理化が進んでも、習俗や祭りなどの中にアニミズム的な意識が濃厚に残っている。縄文時代は土偶・ストーンサークル・ムラ集団の形などの研究により、アニミズム的な世界(精霊崇拝的な世界)に人々が生きていた時代であるとされているが、縄文時代が過ぎ時代が変わっても、人間の無意識的な古層の中にはその時代の魂(アニミズム的な世界=精霊崇拝的な世界)が今も生き続けているようだ。


スサノヲ(スサノオ)


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この記事へのコメント
スサノオがアマテラスに天叢雲剣を渡したのは、出雲が大和へ鉄器を供給したという、考古学的な見地と対応するのではと思います。しかし出雲神にはスサノオとオオクニヌシという2人の大物の神様がいるのかというのは、弥生後期の出雲の状況を見ればわかります。島根県安来市を中心とする東部出雲王朝(スサノオ)と島根県出雲市を中心とする西部出雲王朝(オオクニヌシ)があったのです。東部出雲王朝は早期に発達し、長きに渡って繁栄しヤマトへの鉄器供給を行った。西部出雲王朝は東部の分家として発達したが、東部よりも発展しやがて、北陸あたりまでの日本海沿岸に渡る大国家を作りました。それで大国主といわれます。しかし、それより少し遅れて大和が発展し、西部王朝は短命に終わり、これが国譲りに対応します。一方、大和から見ても東部王朝は本宗家だったので、スサノオとアマテラスは兄弟と言う設定になっていますが、この事情のため滅ぼさなかったと考えられ、この子孫が蘇我氏のような大豪族になって行くと思われます。
Posted by たたら at 2009年09月10日 19:44
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