◆夏の行事、お盆・盂蘭盆会(うらぼんえ)(六)


◆夏の行事、お盆・盂蘭盆会(うらぼんえ)(六)

◆◇◆「お盆」「盂蘭盆会(うらぼんえ)」、さまざまな「お盆」行事

 民間における「お盆」の行事として例えば、「盆竈(ぼんがま)」(※注1)「迎え火」「送り火」(※注2)「精霊棚」「盆棚」(※注3)「精霊流し」(※注4)「送り火」「盆踊り」(※注5)「盆堤灯」「盆花」なども、先祖の霊魂を迎え、供養する意味が含まれている。

 お盆の墓参りの花には、多くの場合、「ほおずき」の花が入っている。一説では、「ほおずき」は、その形が、堤灯に似ているところから、十三日に、先祖さまを迎える、「御魂(みたま)」の目印の「迎え火」や、その簡素化された形としての盆堤灯の意味があるとされている。お盆のお墓参りの花一輪にも、我々日本人が、受け継いできた伝統や習俗に無関係ではないようだ。

※参考Hints&Notes(注釈)☆彡:*::*~☆~*:.,。・°・:*:★,。・°☆・。・゜★・。・。☆.・:*:★,。・°☆

(※注1)盆竈:お盆に、野外に臨時の竈を築いて煮炊きをし、飲食をする行事である。辻飯、門飯、川原飯、餓鬼飯、お夏飯ともいう。期日はお盆の十四日が普通で、十五日にする所もある。外竈を設けて飲食することは、正月小屋や三月小屋と同じく別火生活の名残りとされ、神祭りの資格を得るために、家族から隔離し、清浄を保つための手段であったようだ。多くは女児中心の行事である。「盆のままごと」ともいい、今日の「ままごと」遊びは、外竈の印象を留めたものと考えられている。

(※注2)迎え火と送り火:盆の入り(十三日)の夕方、家の前で火を焚き祖先の霊を迎える。盆の十三日夕方が多いが、お盆の期間中毎日焚く所もある。これが迎え火だ。

 盆明け(十六日)の夕方に火を焚いて祖先の霊を帰す。お盆の終わりの感傷からか、迎え火よりも火にまつわる行事は豊富である。これが送り火だ。盆送り、送り盆などとも呼ばれる。

 迎え火、送り火の習俗は江戸時代に盛んになったもので、川や海に灯籠を流す行為や京都の大文字の送り火もまた、盆の送り火の一つである。

(※注3)精霊棚・盆棚 :お盆の精霊祭りのために家ごとに設けられる臨時の祭壇のことである。お盆の期間中に精霊棚(しょうりょうだな)、先祖棚、盆棚などという棚を作って、位牌、線香、花、野菜や果物、団子などを供える習俗があったそうだ。

 精霊棚は先祖を祀ったものだが、同時に餓鬼棚(がきだな)と呼ばれる無縁仏を供養する棚もあったそうだ。この棚は別に作るところもあり、また精霊棚の下に食べ物を供えるだけのところもあったそうである。

 今と違って昔は行き倒れて亡くなる人も多く、そういった祀られることのない身元のわからない霊魂は人々に様々な災難をもたらす物と畏れられていたことが、餓鬼棚で無縁仏を弔うという習俗を生んだのであろう。

 現在は精霊棚や餓鬼棚などを作るところは少なくなっているが、季節の野菜や果物、団子などを供える(ナスやキュウリで馬を作って供えるのもその変形)などの行為は、まだ多くの地方で行われているようだ。

(※注4)精霊流し:家々に迎えた先祖の霊を、祀り終って送り流すお盆の行事のことである。送り火の一種で、船にしつらえた灯籠を川や海へ流しこの灯籠と一緒に盆に迎えた先祖の霊を送り出す行為が原型だ。九州北部での精霊流しは有名である。場所によっては葦で大型の船を造って流すようなところもある。

 精霊流しの際には、盆の間に供えた野菜や果物などのお供え物も流す。これは祖先の元へ供物を贈るという面と、死の世界と関わった穢れ(けがれ)を水によって清めるという面をもったものであろう。水面に揺れる灯火には、先祖の霊を送り流そうとする気持ちが込められている。

(※注5)盆踊り:今は娯楽行事(あるいは観光用の行事?、阿波踊りなど)となっている盆踊りも元々は、盆に返ってきた祖先の霊を迎え慰め、そして返すための行事であった。

 元来は縦に列をなして踊る形であったようだが、現在では輪になって踊る輪踊りも盛んである。輪踊りの場合は中心は精霊棚であったのであろうが、現在は太鼓の載った櫓だったりする。

(※注)盆と藪入り:現在もお盆の時期は故郷への帰省ラッシュの時期である。現在よりも休みの少なかった時代、盆には奉公人が休みをとって実家に帰ることが出来る時期で、これを「藪入り」と称した。

 この時期はまた、他家に嫁いだ女性が実家に戻ることの出来る時期でもあり、自分と自分の家(先祖、ルーツ・・・)の繋がりを確認する時期だったようだ。


スサノヲ(スサノオ)


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