◆エビス神、信仰コミュニティーの成立(三)

2007年01月09日

Posted by スサノヲ(スサノオ) at 06:34 │Comments( 0 ) 祭りに見る日本文化考
◆エビス神、信仰コミュニティーの成立(三)


◆エビス神、信仰コミュニティーの成立(三)

◆◇◆エビス信仰、その信仰コミュニティーの成立過程(1)

 エビス信仰とは、農漁村や商家などで生業を守護し福徳をもたらす神として、日本全国で見られる信仰である。エビス(ゑびす・夷・戎・蛭子・恵比須・恵比寿)の語源については、異郷から訪れる神という観念が強く認められる。

 日本固有の「寄り神」「訪人神」の信仰を背景にして、特定の神人群によって流布したものと考えられる。漁村では祠に祀った神だけでなく、鯨・鮫・河豚をエビス(ゑびす)と呼ぶことが多く、大漁をもたらす神(神霊)と畏敬されてきた(エビス=ゑびすという語は忌詞で、大漁の前兆として直接に呼ぶことを避けたための言葉とも考えられている)。

 また場所によっては、祠に祀ったエビス(ゑびす)の御神体が漂着神であったり、網にかかって揚がったものなど地域によって違いがあつが、エビスへの信仰は全国的に分布する。(※注1)

 この漁村に発したエビス信仰は、次第に内陸に伝播し、農業神となり、更に商家の神ともなる。そこには、夷舞わし(ゑびすまわし)や戎舁き(ゑびすかき、戎舞わしの傀儡子=くぐつし)などの芸能を持ち歩いた人々の力と影響を見ることが出来る。

 このように今日見るエビス信仰(庶民に篤い信仰を持たれて親しまれている民俗信仰)が成立する過程を考察すると大きく別けて、三つの共同体社会(コミュニティー)(漁村、農村、商業社会=商家)とその成立過程を見ることができる。

 それは「海の神」「市の神」「福の神」としてのエビス信仰と共同体社会(コミュニティー、共同体社会の変化と発展過程)との関係である。このエビス信仰という民衆にもっとも親しまれた民俗信仰を、少し考察してみよう。(※注2)

※参考Hints&Notes(注釈)☆彡:*::*~☆~*:.,。・°・:*:★,。・°☆・。・゜★・。・。☆.・:*:★,。・°☆

(※注1) エビス(ゑびす・夷・戎・蛭子・恵比須・恵比寿)神は、生業を守護し福利をもたらす神として、日本の民俗信仰(民間信仰)の中で広く受け入れられている神(神霊)である。

 語源は定かでないが、「夷」つまり異郷人に由来すると考えられ、来訪神、漂着神的性格が濃厚に観念されている。現在一般にエビス(ゑびす)の神体と考えられている烏帽子を被り鯛と釣り竿を担いだ神像によっても窺えるように、元来は漁民漁村の間で、より広範に信仰されていたものだが、しだいに商人や農民の間にも受容されたと考えられている。

 漁村では多くの地方で、海中から拾った、あるいは浜辺に漂着した丸い石をエビス(ゑびす)の御神体と定めて祠に納め、初漁祝いや大漁祈願など各種の漁に関わる行事で祭りは行われている。

 また鯨・鮫・海豚などをエビス(ゑびす)と呼んだり、遭難者の遺体や漂着物をエビス(ゑびす)と呼んでこれを決して粗末には扱わない風習があった。

 さらに漁師が海に出漁するときや、釣り糸を垂れるとき、海女が海に潜るときなどに「エビス(ゑびす)えびす」と唱え言をすれば漁があると伝えている所も多いようである。

 いずれも、魚群は回遊するという性質と、この神霊に観念されている属性とが結び付けられていると考えられる。

(※注2) エビス(ゑびす・夷・戎・蛭子・恵比須・恵比寿)神は、漁師や農家あるいは商家などで、生業を守護し、福徳をもたらす福神として祀られている。この神は、ヒルコ(蛭児命)あるいはコトシロヌシ(事代主命)とする両説がある。

 また七福神の一つとして大黒天と並び祀られる。古くより「寄り神」「訪人神」として海浜に祀られ、漁師が大漁を祈っていたが、海産物の売買により「市の神」「商売繁栄の神」として、広く商家にまで信仰されるようになった。

 関西では一月十日を「初戎」「十日戎」といって、兵庫県西宮市の西宮神社、大阪市の今宮戎神社などへ招福を祈る多数の参拝者があり、西日本の神社でも一~二月に同様の祭りが多く行われる。

 農家では旧暦の一月と十月の二十日にエビス棚(夷棚)や祠に鯛などを供え、豊作の祈願と感謝の祭りをする「えびす講」の行事もある。

 商家でも秋に「えびす講」あるいは「誓文払(せいもんばらい)」と称し、駆け引きで客を欺いた罪を祓うため、神社に詣でたり、客を供応したり、大安売りをすることがある。


スサノヲ (スサノオ)


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