◆天神祭(大阪天満宮)と菅原道真の謎(四)

2006年07月26日

Posted by スサノヲ(スサノオ) at 12:00 │Comments( 0 ) 祭りに見る日本文化考
◆天神祭(大阪天満宮)と菅原道真の謎(四)


◆天神祭(大阪天満宮)と菅原道真の謎(四)

◆◇◆大阪天満宮と天神祭、千余年の歴史ある浪速っ子の祭り

 天神祭が行われる大川は江戸時代には「出船千艘・入船千艘」 といわれ各藩の蔵屋敷がずらっと建ち並んでいたところである。また天満橋と天神橋の間には青物市場、堂島には米市場、雑喉場(ざこば)には魚市場があってたいそう賑わっていた。水を守り自然を大切にしながら、そこに神様をお迎えするというのが天神祭の基本であったのだ(※注1)。

 千余年の歴史ある大阪天満宮(※注2)の天神祭は、厳粛な神事として古式の伝統を由緒正しく守りながらも、その時代時代の社会情勢にダイナミックに反応して今日に受け継がれてきた(天神祭は浪速っ子に支えられて続けられてきた)。


 しかし、歴史ある天神祭も幕末の政変(※注3)や二度の世界大戦で中断があったが、昭和二十四年に船渡御が復活。また、戦後二回ほど中止になったことがある。一回目は昭和三十三~三十四年のスターリン暴落で大阪の経済が落ち込んだ時だ。二回目は昭和四十九年の石油ショックの時である。

 また、地盤沈下の影響で大川を遡航するという現在の形になったのは昭和二十八年からのことである。天神祭には幾多の変遷があり、その存続が危ぶまれた時期もあった。しかしその度に困難を打開し、伝統を守り、盛り上げていったのは浪速っ子の土性骨と心意気であった。天神祭は今も、そうした人々の熱いエネルギーに支えられ発展している。

※参考Hints&Notes(注釈)☆彡:*::*~☆~*:.,。・°・:*:★,。・°☆・。・゜★・。・。☆.・:*:★,。・°☆

(※注1)「鉾流し」の古式・鉾流神事は、水運等の事情で江戸時代初めには雑喉場(ざこば)の地に行宮が設定されるようになり、その本来の意味が失われたため中止になる。その復活は約三百年後の昭和五年(一九三〇年)のことだ。

 行宮の方は、雑喉場から戎島に、その後の明治には松島に移された。いずれにしても、江戸時代以来、本来のスタイルは失われている。なお、現在は鉾が「神童」によって流されるだけだが、この神事の直後、旧行宮の松島に神使が向かうともされている。

(※注2)大阪天満宮の創始(御鎮座)は、平安時代中期に遡る。菅原道真公は、延喜元年(九〇一年一月二十五日)、政治の上で敵対視されていた藤原時平の策略により昌泰四年(九〇一年)九州太宰府の太宰権帥(だざいごんのそち)に左遷されることになる。

 菅公は、摂津中島の大将軍社に参詣した後、太宰府に向ったが、二年後にわずか五十九歳でその生涯をとじる。(延喜三年/九〇三年二月二十五日)その約五十年後、天暦三年(九四九年)のある夜、大将軍社の前に突然七本の松が生え、夜毎にその梢(こずえ)は、金色の霊光を放ったという。

 この不思議な出来事を聞いた村上天皇は、これを菅公に縁の奇端として、同地に勅命を以て鎮座された。大将軍社は、その後摂社として祀られるようになったが、大阪天満宮では、現在でも、元日の歳旦祭の前に大将軍社にて「拂暁祭(ふつぎょうさい)」という祭りを行い、神事の中で「祖(そ)」と言ういわゆる借地料をお納めする習わしになっている。

(※注3)現在のご本殿は、弘化二年(一八四五年)に再建された物だ。この大阪天満宮は、江戸時代の記録に残るだけで七度もの火災に遭い、なかでも大阪市中を焼き尽くした享保九年(一七二四年)の妙知焼けや、大塩平八郎の乱による天保八年(一八三七年)の大火では、全焼してしまう。その約八年後に、大阪市中の氏子や崇敬者又献身的な奉仕者によって、現在のご本殿が再建された。


スサノヲ(スサノオ)


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