◆◇◆エビス(ゑびす・夷・戎・恵比須)信仰、十日戎(一月九日~十一日)
一月十日は「商売繁盛、笹持って来い!・・・」で知られる、西宮神社(兵庫県西宮市、ゑびす宮全国三千余社の総本社、西宮のえべっさん)や大阪府・今宮戎神社(大阪府大阪市浪速区)でエビス(ゑびす・夷・戎・恵比須、蛭子神が摂津国西の浦に到着し夷三郎として祀られたのが西宮エビス)神を祭る「十日戎(とおかえびす)」が行われる。九日は「宵戎(よいえびす)」で、十一日は「残り福」である。
関西では「えべっさん」と呼ばれ庶民に親しまれている祭りで(関東では一月二十日、十月二十日や十一月二十日のゑびす講)、特に総本社の西宮神社と今宮戎神社(元は西宮神社の分社で、西宮の本宮に対し今宮といわれました)は、それぞれ百万人の参詣・参拝客で賑わう。(※注1・2・3)
※参考Hints&Notes(注釈)☆彡:*::*~☆~*:.,。・°・:*:★,。・°☆・。・゜★・。・。☆.・:*:★,。・°☆
(※注1) 私たちは、七福神(恵比須・大黒天・弁財天・毘沙門天・布袋尊・福禄寿・寿老人)の中で満面に笑みをたたえた福相をして、デップリと太って狩衣指貫(かりぎぬゆびぬき)に風折烏帽子(かざおりえぼし)を被り、鯛を抱え釣竿を肩にかけたエビス(ゑびす・夷・戎・恵比須・恵比寿)神の姿をよく知っている。
このような姿は、江戸時代の商家の福神信仰の広まりとともに生まれたものである。インドの三柱の神、中国の三柱の神とともにただ一柱、日本の神としてエビス(ゑびす・夷・戎)神が七福神に加えられている。
ここには商業社会(商業社会が成立する室町時代、インドや中国の神々を集めた福神信仰が広まる。中国の奇数を尊ぶ思想や竹林の七賢人、また仏教の「七難即滅、七福即生」にならって七福神信仰が成立する)のエビス(ゑびす・夷・戎)信仰の根強さを窺い知ることができる。
エビス(ゑびす・夷・戎)神は元々漁業の神であったが、商人が干鰯(ほしか)・昆布などの海産物を扱うことが多かったため、商売繁盛の神・商家の神ともされた。
(※注2) エビス神はゑびす・夷・戎・蛭子・胡子・恵比須・恵比寿とも書き、見知らぬ遠方・辺境のものや異邦人・異俗の人々を意味する。日本には古くから異邦人・異俗の人々を蔑視と畏怖の対象とみなすだけでなく、異郷からやって来たものが人々に望外な幸をもたらしてくれるという信仰があった(海の彼方からやって来るものに、海の幸や豊穣を呼び込む霊力があると期待する心意がありました)。
こうしたことからも、漁民が浜に流れ着いたものを「寄り神(漂着神)・客神(まれびとがみ)」として祀る習俗(多くの漁港や漁村では浜辺や村内のあちこちにエビス神の祠が見られ、普段から漁民の篤い信仰を集めているとともに、大漁があったときなどにはエビス魚などといって祠の前に獲れた魚を献じる習慣がある)が、福神(豊穣・豊漁の神)としてのエビス信仰の最も古い形(原初的形態)であったと考えられる。
各地に残されている寄り神信仰をみると、三浦半島では水死体を「流れ仏」と呼び、それをエビスとして祀り、「エビスさん拾い上げてやるから漁をさせろ」という風習があったた。奥能登や佐渡の漁村では、村外から訪れる物貰いをエビス神に見立てて祀っていた。
京都府舞鶴市の小橋漁港では、海中から拾い上げた丸石をエビス神として神社に前に置き、出漁前に丸石を叩いて大漁を祈願する風習が今でも行われている。また、東日本の漁民の間では、鯨・鮫・海豚のことをエビスと呼ぶことがある。
(※注3) 出雲地方では、海辺に寄り来る海蛇(セグロウミヘビの一種)に対する竜蛇信仰(竜蛇様)が盛んである。そうしたことから、古代の出雲の人々は、竜蛇様と同じような性格のエビス神をオオクニヌシ(大国主命)の子神で漁猟の好きなコトシロヌシ(事代主命、国譲りに際し天孫族に服従したあと海の果てに去ったとされる。島根県八束郡美保関町の美保神社)として豊漁の神に神格化したのである。
またここから大黒様(音の通ずるところから大国主神とされます)とエビス様の福神ペアとしての考えも生まれた(室町時代中期頃、日本では古くから男女神、夫婦神、親子神など二柱一対に祀る風習があり、神の力も二倍になると考えた。こようにして「エビス大黒」は強力な福神のイメージが形成されたのだ)。
スサノヲ (スサノオ)
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◆2012年 古事記編纂1300年記念
「なにごとの おわしますかは 知らねども かたじけなさに なみだこぼるる」
この言葉は、仏僧であった西行法師が伊勢神宮を参拝した際に詠んだとされる歌である。
自然崇拝を起源とする日本の神々は、目には見えない。
しかし八百万の神々は、神話の時代から今日に至るまで、時代とともに変化しながらも、さまざまな思想や宗教と宗教などと習合しながら、常に日本人の心に生き続けてきた。
2012年、現存する中では最古の歴史書「古事記(こじき・ふることぶみ)」が1300年を迎える。この「古事記」という書物には「国土の誕生について」「日本の神々について」「日本の歴史について」、「日本」と「日本人」のこの国のすべてのことが古代の人々の感性で語られている。
また、日本全国の神社で祀られてる「アマテラス」「スサノヲ」「オオクヌシ」などの神々の物語である「天の岩屋戸開き」「八岐大蛇退治」「稲葉の素兎」などがいきいきと描かれているのだ。
古代の人々が心に描いた世界観である「八百万の神々が今も生きる日の本の国の神々のものがたり」を知ることで、今一度「日本」と「日本人」のことを真剣に考えてみよう。いや、エンターテイメントとしても大変に面白い物語だ。この記念すべき年を機会に、ぜひ読んでみよう。
スサノヲ (スサノオ)