◆『古事記』、神話のコスモロジー(一)
◆『古事記』、神話のコスモロジー(一)
◆◇◆『古事記』、神話のはじまり
『古事記』の冒頭は、「天地初めて発れし時に、高天原に成りし神の名は、天之御中主神。次に、高御産巣日神。次に、神産巣日神。此の三柱の神は、並に独神と成り坐して、身を隠しき。・・・」と、神の名を呼び上げるだけだ。この天地初発の神話では、天地の創造と高天原の創造については、語ることなく(触れることなく)神々の出現を述べるだけである。
このことは、天地創造や高天原の神々の世界を広く語ることが主題(本題)でなく、天上界(高天原)が働きかけることにより、地上界(「くらげなすただよへる・・・」「是のただよへる国を・・・」)がどのようにして形成されて世界となったのかということと、神々の世界から天皇の統治する世界に収斂していく過程を、神話的に語ることにあった。
言い換えれば、高天原の天津神の関与によって、地上界は初めて世界となったということを言いたいのである。然るに、地上界(葦原中国)は天上界(高天原)の天津神が支配・統治すべき国であることを、語ろうとしているだ。
スサノヲ(スサノオ)
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